なぜ、こうなってしまったのか その2

前回の更新から約1ヶ月、その間112回の医師国家試験が終了。

 

これまで3日間だった日程が2日間になって初の国家試験。自分も当日性懲りも無く解いてみた。プレッシャーのない自室だったから平常心だったけどもし会場であの最初の問題を見たら相当焦ったに違いない。受験生の方々、お疲れ様でした。

 

国家試験を解いて見て、多くの受験生の人たちと同じ解答を選択する度に喜びと同時にそれ以上の虚しさ、悲しさを感じる人間は全国でもなかなかいなかったのではないだろうか。

 

前回の投稿で卒業試験について自分側面で考察して見た。

今回は卒業試験そのものを考えていきたい。

 

今回のタイトル通り、なぜ、こうなってしまったのか、それは合格点数70に到達できなかったからである。

 

この70というのはどういった数字なのかをまず書いて見たい。 

最下位をとった次の年に国家試験を受けるべく6年生になった僕たちの前で医学教育の教授が高らかに宣言をした 『今年から卒業試験、厳しくするよー、これまでの60%から70%に。そしてこれまで過去問通りの出題だったけど過去問、使えないようにするね』

うちの大学の卒業試験事情 その1 - 医学科6年が卒業試験の後、高卒になったそのあと

最初の方に書いた記事で記載したこの「70」という数字は医学教育担当の教授がこれまでの学生の卒業試験の点数と国家試験合格の相関関係を解析して出されたものらしい。

 

この宣言をする際、教授お手製のパワポに小さく分布図みたいなものが表示されていたが教授曰く、70以上あると合格、70ないと国家試験に不合格、国試浪人する率が有意に高くなるらしい。

 

だがちょっと待って欲しい。

 

この70という数字を出してきた際公表されたデータはこれまでの卒業試験を受けてきた過去の先輩方のものである。過去10年分なのか、直近5年分なのか去年だけなのかはよく分からない。だが未来予想ではない、過去のものであることは間違いない。

 

自分が最初に受けた卒業試験とこれまでの卒業試験はまるで別物である。

 

これまでは『卒業試験はあってないようなもの』だったのに卒業試験のせいで国家試験を受けられない、何もない6年生をもう1度やれ、と留年を宣告されてしまう。

うちの大学の卒業試験事情 その2 - 医学科6年が卒業試験の後、高卒になったそのあと

 過去の記事でもこう書いた、あってないようなものというのは具体的には誰も卒業試験で卒業できないと考えるものではない試験だったということである。

 

自分の知りうる限り、多くの医学科には試験委員というものが存在する。

その名の通り試験に関する雑用を引き受ける。再試験の日程を教授に交渉したり学務と掛け合ったりするのが表の顔。裏というかあまり大学側に知られたくない側面として試験の復元を担当していたりする。

そういった試験委員や先輩方のお陰で卒業試験の過去問集が学生の間では脈々と受け継がれ毎年更新されている。

なので受けていない卒業試験の内容も伺い知ることが出来るのだが明らかにこれまでの卒業試験と自分が初めて受けた試験は傾向が変わっている。

 

悲しいことに今よりもまだ国家試験を網羅してなかった6年生になりたて当時の自分ですら過去の卒業試験だったら高得点が取れていた。

なぜかって?それはただ過去問と重複が結構あったからに他ならない。

 

この70という数字の根拠にかなり疑問を持っているし納得できてはいない。

 

しかし、まぁ別に根拠があろうがなかろうが教授会には卒業試験の合格点を変更する権限があり根拠など不要なのかもしれない。

 

この70という数字が新しい卒業試験になってどういう数字となったのか。

 

卒業試験は間違えた箇所を明確には示してくれないものの診療科別の点数と平均点を通知してくれる。

それによるとどうも平均に70を持ってくることを目標としているらしいことが分かった。

出題する側が問題の難易度を変更したり採点除外問題を指定することで点数を調整できることは周知の事実だと思う、なので「目標としている」と書いた。

 

世間一般でいう平均点のイメージだとまぁ良くも悪くもない、普通といったイメージかもしれない。

学校の入試ですら色々なスタンスの人が受験する、全く勉強してないけど受かればラッキーという人からガチでやっている人たちまで含めての平均である。

 

しかし、卒業試験の平均点数はちょっとどころかかなり意味合いが違う。

就職先も決まってる状況でまぁ無理なら仕方ないやーというスタンスでやっている人は皆無な中での平均点数である。

 

どのくらい平均を突破するのに苦労するのか、突破できなかった自分を例に出しても例にならないので友人の例を出そうと思う。

自分と同じく1回目の卒業試験を突破できず1年間卒業試験のために大学に留められた友人Aくん。

彼は行動力もあり留年が決まって落ち込む間も無く、すぐさま勉強会を開いて努力しようと提案し、有言実行した本人で、自分も彼のお陰でずっと1年間モチベーションを切らさず保つことができた恩人である。

彼も1年間来る日も来る日も勉強の毎日を送り、卒業試験1週間前に「もう早く試験を受けたい!」と言っていたし、やることはやったから大丈夫と言わんばかりに、試験前に焦っている自分からすると羨ましいくらいの試験前オーラだった。

彼は努力の甲斐あって卒業試験を無事突破した。あとで点数を教えてもらって驚いた、70.2%だったのだ。1問間違えるとボーダー際どいところである。

 

この試験の70というのはこう言う事なのだと言う事実を教授方はご存知だろうか、狙い通りなのだろうか。

 

70について熱く語りすぎて長くなってしまった。

まだ試験ファクターについて語りたいことがあるので次に続けようと思う。